管理栄養士のそのべひろみです。
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今日はトランス脂肪酸について。
言わずもがな「トランス脂肪酸は体によくない」ということは知っているでしょう。
今更ですが、なぜトランス脂肪酸はよくないのか?!
トランス脂肪酸に対するエビデンスなどに対しては、ググれば山ほど出てくるのでここでは割愛させてもらいますが
生理学的にどういう風にトランス脂肪酸が体によくないのかをまとめたいと思います。
細胞膜は油でできている
身体は細胞の塊です。
脳、すべての臓器、皮膚、髪など体全体が細胞でできています。
その細胞の膜の主成分はリン脂質という油なのです。
図のように、リン脂質が対になっています。
青い丸の部分は親水性、ピンクの部分は疎水性(油:水をはじく)になっています。
水・油・水の層になっているというイメージですね。
細胞膜はぽわわわ〜んとしていることが大事
このピンクの「油」の部分は足が2本になっているのですが、この片方には飽和脂肪酸、もう片方には不飽和脂肪酸が入り込む性質になっています。
飽和脂肪酸とは食べ物でいうと、バターや肉の脂など固形の脂です。
酸化しにくい性質をもちますが、流動性・柔軟性はなく、図でもまっすぐ、固いというイメージを。
不飽和脂肪酸は、食べ物でいうと、液体の油。
オリーブオイル、サラダ油、魚の油も含みます。
飽和脂肪酸に比べると不飽和脂肪酸は酸化しやすく、酸化しやすい油(二重結合が多い)ほど、流動性・柔軟性が高く、クネクネしています。
(図でクネっとしていますね)
この不飽和脂肪酸の性質から、細胞膜はフワフワ〜クネクネ〜とやわらかく、水にぽわわわ〜んと浮いているような構造になっているとのこと。
細胞膜のぽわわわ〜んという性質(流動性・柔軟性)が、細胞膜の働きを担うためには必要なのです。
トランス脂肪酸は細胞膜を固くする
それでは、トランス脂肪酸は細胞膜のどこに入るのでしょうか?
トランス脂肪酸は安価なサラダ油(不飽和脂肪酸)から作られます。
そのままだと酸化しやすい液体の油を、固形の油にします。
(サラダ油がマーガリンになることをイメージしてみてください)
そのため、上記リン脂質の図の「不飽和脂肪酸」のところにトランス脂肪酸が入ります。
トランス脂肪酸は、まっすぐでクネクネしていません。
そうするとどうなるか?
細胞膜がカチ!っと固いものになってしまうのが想像できますか?
トランス脂肪酸は、リン脂質の不飽和脂肪酸のところに入り込み、細胞膜をかたくしてしまうのです。
細胞膜が固くなると
細胞膜の流動性、柔軟性が失われると、細胞膜が本来の機能を果たしづらくなります。
例えば、腸粘膜の細胞が固かったら・・・隙間ができやすく、異物が入り込みやすくなり、リーキーガッドの原因になります。
赤血球は、毛細血管より少し大きいため、体を折り曲げて毛細血管に入り酸素を届けます。
赤血球が固かったら、体を折り曲げることができないため、末梢に酸素が届きません。
このように本来ぽわわわわ〜んとしている細胞膜の流動性・柔軟性がなくなると、様々な障害が起こることがわかると思います。
成長期のこどもの油の質
こどもは常に細胞分裂を繰り返し、成長しています。
特に脳の4割は油。
細胞膜もそうですが、脳の成分までもが流動性のないトランス脂肪酸で大半が占められていたらどうでしょうか。
生体の機能がうまく果たせなくなると、病気に繋がる可能性もありますし、その子の本来もっている力を引き上げることが難しくなるかもしれません。
怪我をしやすい、感染症にかかりやすい、アトピーやアレルギーになりやすいなど、挙げればキリがないくらいデメリットがでてきます(笑)
油の質は、今日変えて明日よくなるものではないので体感が出にくいのですが、こどもは大人に比べて新陳代謝が早いため、影響も早めに出てくるでしょう。
日本の製品はトランス脂肪酸表記なし
日本ではトランス脂肪酸の表示義務がありません。
企業努力でトランス脂肪酸の含有量が少し前に比べてずいぶん減ってきているとのことですが、表示がないためよくわからないというのが現状。
少し有名な話ですが、日本のお菓子、コアラのマーチが台湾で売られた時にトランス脂肪酸の含有量が表示されました。
なんとその量がWHOが推奨する1日量(2g以下にすべき)とコアラのマーチ1箱(1.968g)がほぼ同等の量だったということ。。。
コアラのマーチ、1箱なんてこどもでもぺろりですよね泣
このように、密かにトランス脂肪酸含有量が高いものを毎日食べてしまっていれば、体内のトランス脂肪酸割合が高くなってしまいますね。
ショートニング・マーガリン・ファットスプレットと記載のある製品は極力避けていきたいと思います。
投稿者プロフィール
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管理栄養士/PNTトレーナー/臨床分子栄養医学カウンセラー
病院栄養士、陸上実業団専属栄養士を経て独立。二児の母。
難しい栄養学を「誰もが腑に落ちる栄養学」にしてお伝えしています。
分子栄養.コンディショナー養成講座主宰。
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