管理栄養士、母子栄養コンサルタントのそのべひろみです。
今回は、こどもの味覚や好き嫌い、食の価値観についてお話していきたいと思います。
こどもの味覚は3歳までに決まる
こどもの味覚は、3歳までにほぼ決まると言われています。
舌や頬の内側など、口の中には味蕾(みらい)という味のセンサーがあります。
赤ちゃんの味蕾は、お母さんのおなかにいる妊娠11週目くらいには形成されていると言われています。
その後は、生後3カ月くらいまで増え続けます。
生まれたばかりの赤ちゃんの味蕾の数は10,000個。
成人男性では約7000個。
こどもの方が大人に比べて味覚が敏感です。
そのため、こどもの頃は食べられなかったものが大人になって食べられるようになる、ということが起こってくるのですね。
味覚は、胎児(お母さんの食事)から、母乳→離乳食→普通食と、3歳くらいまでに色々な食事を経験させることにより、味覚を基盤を形成していきます。
この時期の食事は特に大切にしていきたいですね。
味覚は、生きるために必要なものを識別する能力
味には「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」の五味があります。
それぞれの味を感じると、味蕾から神経を通って、脳へ信号を送ります。
甘味→エネルギー源である糖の存在を知らせる
塩味→体液のバランスに必要なミネラルの存在を知らせる
酸味→腐敗している、果物などが未熟であることを知らせる
苦味→毒の存在を知らせる
うま味→体をつくるのに必要なたんぱく質の存在を知らせる
このように、味覚は生きるために必要なものを識別する能力なのです。
活動量が多く、そして成長するためにエネルギー源が多く必要なこどもは
美味しさの構成要素は味だけじゃない
お子さんがママが作ったものを食べないと、「これは好みの味じゃないのね💦」となると思います。
ですが、こどもが「美味しい」と時感じるのは味だけではないのです。
色、におい、大きさ、食感(舌触り)そしてシチュエーションも影響します。
こどもは、様々な情報を脳に取り込んで、それが味の構成要素になっています。
特ににおいは重要な要素。
五感のなかでも最も原始的で、味覚よりも正確と言われています。
こどもって味にも敏感ですが、匂いにも敏感じゃないでしょうか。
うちの娘も、クッキーのにおい!カレーのにおい!だいすきなお肉のにおいがする!!など料理をしているとにおいにとっても敏感です(笑)
そして私たち大人でも、味自体よりも、香りの記憶の方が鮮明に残っているはずです。
BBQで食べた炭火で焼いた時・・・
美味しいうなぎを食べた時・・・
焼きたてのパンを食べた時・・・
記憶に残っているのは、香りの方だったりしませんか?
安心安全の美味しさと病みつき系の美味しさ
人が感じる「美味しさ」には2種類あるとわたしは考えています。
一つは、「安心安全のおいしさ」というもの。
本来、味蕾で感じる五味がしっかり感じられ、特に「うま味」の部分を感じる力が発達していることが大切です。
食材そのものの素材の味、本来生きるために必要な味を感じて、本能で美味しいと感じる力をつけていくことは、健康な体を育てていくためにとても重要です。
もう一つの「病みつき系の美味しさ」は、惑わされないようにしないと健康を損なってしまう可能性がある「美味しさ」です。
これは過剰な砂糖や油脂、そして甘味料や化学調味料を食べることで生まれます。
これらは脳の神経に影響を与えて、食べると快楽が生まれ、おなかがすいていなくても食べてしまうことがあります。
パパやママにできることは、たくさんの「安心安全のおいしさ」を教えてあげて、「病みつきのおいしさ」をできるだけ減らしていくことなのではないかと思います。
こどもの味覚を豊かに広げていってあげましょう。
子どもの味覚の幅を広げるために離乳期から意識したいこどもの食事のポイントを具体的にお伝えしていきます。
① うま味と素材の味、たくさんの味を経験させる
生まれたところの食材を中心に、季節の食材を基本とします。
離乳食のときは、マヨネーズやソース、ドレッシング、ケチャップなどの味の濃い調味料は、食材の味をわからなくしてしまうのでまだ与えない方が良いでしょう。
離乳食の時期に濃い味に慣れてしまうと、大人になっても濃い味を好むようになってしまうそう。
離乳食ではなんでも混ぜてしまいがちですが、できれば別々にあげた方が◎です。
雑炊に具をたっぷりは、毎食ではない方が良いですね。
出汁は、鰹節、煮干し、昆布、椎茸と様々組み合わせてOKです。
うま味は2種以上組み合わせることによって、7倍にもなると言われています。
だしの素などの粉末は、香りが強く、脳神経に刺激を与えるアミノ酸の量が不自然に入っています。
そのため、出汁はできるだけ素材からとるようにしましょう。
出汁パックでもOK。出汁の選び方は別途違う記事にあげていきたいと思います。
② 好き嫌いは、繰り返し与えることで改善できる
経験によって嗜好は定着していきます。
嫌いな食べ物であっても、積極的に食卓にあげること、そして親が隣で美味しそうに食べている環境がこどもの偏食を減らすことがわかっています。
食べる食べないに関わらず、食卓に出し続けることが大切なんですね。
一方、親が無理矢理食べさせたり、こどもが食べないからと言ってその食材をあまり使わないようにすることは、大人になってもその食品に対する嫌悪感が残る、ということがわかっています。
「全部食べなさい!」「好き嫌いはダメ!」「一口だけでも食べなさい!」など、好き嫌いに対しての幼少期の過剰な介入は大人になってからも残ってしまうようです。。
親は隣で、「美味しいわ〜!」「やっぱり採れたての焼いたピーマンは最高だね」なんて独り言を言いながら食べるのがよさそうですね!
③ 食事は楽しいもの、という環境づくり
離乳食のときから、食事の環境は大切です。
離乳食作りは大変ですし、1〜2歳の食事は特に汚したり食べさせるのに大変で、お母さんがヘトヘトなんてことも。
大変だなぁ、疲れたなぁ、という状況はこどもにも伝わります。
離乳食作りは大人の食事の取り分けを中心に、味だけ薄めてあげればOK。
手づかみ食べも毎食絶対にしないといけないわけではないので、余裕のあるときに。
食事は楽しいものということを教えてあげることの方がこの先、とても大切です^^
3歳までに食事の価値観も身につくと言われているので、いつも忙しくて家族がバラバラの食卓だと、それがこどもにとって当たり前のことになってしまいます。
できるだけ家族で楽しく食卓を囲む時間を作ってあげられると良いですね。
頑張りすぎないことも大事
3歳までの食事や食環境が今後にとても大切なことがわかりました。
お父さん、お母さんは、安心安全を与えると同時に、どれだけ楽して楽しんで食事ができるかが大事ですね。
頑張るポイントを間違えないように、そしてどう楽をしていくかをお伝えしていくのが私の役目だと思っています。
悩んだらお気軽にご相談ください。
投稿者プロフィール
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管理栄養士/PNTトレーナー/臨床分子栄養医学カウンセラー
病院栄養士、陸上実業団専属栄養士を経て独立。二児の母。
難しい栄養学を「誰もが腑に落ちる栄養学」にしてお伝えしています。
分子栄養.コンディショナー養成講座主宰。
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