管理栄養士のそのべひろみです。
先日、アメフトチームの方々に栄養セミナーをさせていただいて、改めて胃腸の強さはアスリートの強さにも通ずるなと感じました。
今回は、栄養療法ではかなり重要度の高い胃とたんぱく質の消化について書いていきたいと思います。
胃が弱い=たんぱく質の消化ができない
健康が取り柄!なんて思っていたわたしですが、出産2回、34歳になりました。
ちまたでご活躍されている尊敬する方々に比べたらまだまだいろんな意味で若い!んですが、やはりこれくらいの年齢になってくると体の不良も気になってきます。
その中でも、自分的に気になっていることのひとつに胃腸の弱さ。
特に胃が貧弱な模様。。
胃は主に何をしているかというと、たんぱく質の消化です。
「消化」が必要なのは糖質・たんぱく質・脂質の三大栄養素ですが、
実は胃で消化されるほとんどが、たんぱく質なのです。(他二つは素通り)
なので、胃の強さ=たんぱく質の消化力、ということになります。
たんぱく質は言わずもがな、全身の組織や血液、酵素、ホルモンなど生命体の基盤となるものです。
つまり、胃がしっかり働いていないと身体がうまく作られない、機能しないということになります。
筋肉がつきにくい、何やら不調が続く、貧血だetcが、たんぱく質の量はとっているはずなのになかなか改善されないという方は、胃の状態をチェックしてみてはいかがでしょうか。
ペプシノーゲンは胃酸でペプシンに
食べ物からたんぱく質が胃の中に入ってくるとペプシンという消化酵素が働き、たんぱく質を分解(消化)します。
たんぱく質は、アミノ酸がいくつもつながった構造をしているのでそれを切り離していくのが消化酵素の役割です。
ペプシンは、前駆体のペプシノーゲンの形で体内に存在します。
ペプシノーゲンは、強酸の状態でペプシンに変わります。
ペプシノーゲンは、胃酸(=強酸)がしっかり出ているとたんぱく質が消化できるペプシンに変化するのです。
ペプシノーゲン検査
ペプシノーゲンは血液中に少量漏れ出します。
そのため、血液検査で測定することが可能です。
通常は胃がんのスクリーニングのために行われるものですが、胃の健康をみるためにみておくと良い指標だと思います。
指標は以下です。
- ペプシノーゲンⅠ/Ⅱが5以上かつペプシノーゲンⅠが50以上:良好な胃の状態
- ペプシノーゲンⅠ/Ⅱが5未満:胃が萎縮している可能性、ピロリ菌感染の疑い
- ペプシノーゲンⅠが70以上:胃の炎症を疑う
私の結果は・・・
ペプシノーゲンⅠ 39.4
ペプシノーゲンⅡ 7.2
PGⅠ/PGⅡ比 5.5
Ⅰ/Ⅱ比はギリギリ5以上でしたが、Ⅰはポンコツな値でした。
メモ:ペプシノーゲンIは胃の下部で、ペプシノーゲンIIは胃の出口(十二指腸に近い部分)で生成
ペプシノーゲン検査のみる順番
検査結果の見方として、
まずPGⅠ/PGⅡ比をみます。
5より低い値だと胃粘膜が萎縮している可能性があり、ペプシノーゲンが血液中に多く漏れ出てしまいます(逸脱する)。
そのため、ペプシノーゲンⅠは高めの数値になり正確な値にはならないとのこと。
PGⅠ/PGⅡ比が5以上あれば、ペプシノーゲンⅠの値をそのまま読むことができます。
すべての元はたんぱく質
ペプシノーゲンが低い場合は、胃粘膜の萎縮を考えるのですが、ペプシノーゲンも胃酸も胃粘膜も元をたどれば原料はたんぱく質。
ペプシノーゲンが低いということはたんぱく質の不足が疑われます。
それから、胃粘膜のたんぱく質はコラーゲンが主なので鉄を原料としています。
そのため、鉄不足(貧血)だと胃粘膜は萎縮してくることも考えられます。。
その他の結果はまた載せますが低タンパク、貧血もあるわたしの血液検査結果です。
ただ、重要なのは、わたしの食事は全くたんぱく質の量の不足はないんです。
たんぱく質が吸収できていない人
たんぱく質も鉄分も不足していない食事→なのに、低タンパクや貧血になってるということはどういうことなのでしょう?
これは、食べていても吸収できてない!という状態。
摂った量=吸収できている量ではないんです。
吸収できているかに着目しないと、いくら量を増やしても意味がありません。
筋肉つかないからってプロテインがぶ飲みしている人、要注意です(笑)
- 胃が弱い
- ちょっと量を多く食べるとすぐに胃がムカムカする
- 食べた後にお腹がポコポコ、ガスっぽい
- おならや便が臭い
- 便が黒っぽい
- 次の食事の時間にお腹が空かない
このような症状がある方は、ご自身のたんぱく質の消化のキャパをこえているかもしれません。
胃酸と消化酵素をバックアップする方法
胃酸と消化酵素を助けるための食事やサプリメントの取り方のコツがあります。
これをしながら、上記症状が出ない量のたんぱく質をとっていきます。
1度に多く食べるのでなく、小分けにしてとることが重要です。
- 胃酸補助のために、食事で酸っぱいものを取り入れる(レモン水、リンゴ酢水、すっぱい梅干し、酢の物など)
- 胃酸を促すために、食前に苦いものとか食べる(パセリを噛む)
- 消化酵素補助のために、食事の最初に生野菜を噛んでむしゃむしゃ。
- 大根おろし、生キャベツの千切りをよく噛んで食べる
- 塩酸ベタイン(胃酸の代わり)と消化酵素をサプリで補う
- ボーンブロス、煮干し粉など、できるだけ吸収の良い(ペプチドとかアミノ酸の多い)たんぱく質をこまめに
- 肉、魚、大豆製品、乳製品など、自分の体に合ったたんぱく質はどれなのか?身体の声をきいてみる
- 落ち着いて食べる
そして、もう一つ重要なのはよく噛むこと。
噛むことによって唾液が出ますが、唾液が胃に落ちることで、胃は消化の準備をし、胃酸を出す刺激になります。
しっかりと噛むことがたんぱく質の吸収に影響を与える(吸収率アップ)こともわかっています。
人によって、今すべきことが違うと思いますので上記は参考程度に、基本は自分の体の状態を感じつつやってみて下さいね。
胃酸サプリ(ベタイン塩酸)と消化酵素
わたしが現在使っているサプリメントはこんな感じです。
ベタイン塩酸とたんぱく質消化酵素に加えて、ox bile脂質の消化を助ける胆汁酸も入っています。
ベタイン塩酸メインのサプリよりも量は少ないのですが、まんべんなく入っていて気に入っています。
エンザイメディカの消化酵素は、ダイジェスト、ダイジェストベーシック、ダイジェストゴールドと色々種類がありますが、今はわたしはゴールドに落ち着いています。
消化酵素に関しても、試してみて自分自身のその時に合うものを選択していくと良いと思います。
参考になれば!
たんぱく質の量や種類だけに注目するだけでなく、受け取る側の体の状態にも目を向けてみましょう。
投稿者プロフィール
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管理栄養士/PNTトレーナー/臨床分子栄養医学カウンセラー
病院栄養士、陸上実業団専属栄養士を経て独立。二児の母。
難しい栄養学を「誰もが腑に落ちる栄養学」にしてお伝えしています。
分子栄養.コンディショナー養成講座主宰。
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